こく)” の例文
丈夫さうであぶらぎつて、三十過ぎまでニキビを持越して居る獨り者、無口で一こくで、そのくせ氣の弱さうな、一種の劣等感と
極く一こくたちで尊大で家一杯ひろがつて我儘を通して居た習慣が、病みついてからは更に募つて、家のものに一日三界あたり散らすので、末の弟の哲と云ふのなぞは
お末の死 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
だから其大切な時機を通り越すと、世間は其資格を段々奪ひにかゝる。露西亜と戦争の最中こそ、閉塞隊は大事だらうが、平和こく復のあかつきには、百の広瀬中佐も全くの凡人に過ぎない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
何處か一こくで正直で、お孃さんの言ふことは、どんな無理でも聽きましたし、お孃さんが、馬鹿にし乍らも可愛がつたのは、無理もないと思ひました
太兵衞は口惜くやしさうです。子飼ひの番頭らしい一こくさで、何べん大黒屋へ呶鳴どなり込まうとしたことでせう。
色の黒い、たくましい男ですが、眼鼻立は立派な方で、隨分良い男で通るでせうが、二十三、四の若い盛りのくせに、何處か年寄り染みた、一こく者らしい口をきく男です。
盲人らしい一こくさで、佐の市はなほも言ひ募りさうにするのを