先月あとげつ)” の例文
「いいや、何でごぜエますよ、その、先月あとげつまでは奥様——ウンニャお嬢——ごご御病人様とばあやさんがおいでなさったんで、それからまア老爺わたくしがお留守をいたしておるでごぜエますよ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
実は召仕めしつかいのお國と宮野邊の次男源次郎ととくより不義をしていて、先月あとげつ廿一日お泊番とまりばんの時、源次郎がお國のもとへ忍び込み、お國と密々ひそ/\話して居る所へうっかりわたくしがお庭へ出て参り、様子を聞くと
「それでは先月あとげつ帰京かえったンだね——では東京あっちにいるのだな」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)