傷所きずしょ)” の例文
青年はたもとから取出した新しいハンケチで手際てぎわよく傷所きずしょ繃帯ほうたいをすると、極度の恐怖と傷の痛みとで、もう一歩も歩けぬ程弱っている平田氏を、殆ど抱く様にしてその宿へつれ帰った。
幽霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「実は、傷所きずしょも充分癒りきらぬそれがしが、今日にわかにお伺い致したのは、重ね重ねではござるが折入って尊公に一大事のお頼みに参ったのでござる。何とげてお聞入れては下さるまいか」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
傷所きずしょよりいでたる血潮は既にこゞりて黒くなれり。
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)