倚添よりそ)” の例文
白いもの花やかに彩色いろどりして恥の面を塗り隠し、野心深い夫に倚添よりそひ、がけにある坂路をつたつて、舟に乗るべきところへ下りて行つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
余は二歩ばかり洋卓テーブル遠退とおのいて、次の室の入口を覗いて見た。そうしてまた驚いた。むこうの壁に倚添よりそえて一脚の机を置いて、その右に一人の男が腰をかけている。その左に女が三人立っている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
南の障子にさす日の光は、御部屋の内を明るくして、銀の屏風に倚添よりそう御二人の立姿を美しく見せました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
就中わけても、銀之助はく笑つて、其高い声が台所迄も響くので、奥様は若い人達の話を聞かずに居られなかつた。しまひにはお志保までも来て、奥様の傍に倚添よりそひ乍ら聞いた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
定めし、お志保は部屋を出たり入つたりして、茶の道具を持つて来たり、其を入れて人々にすゝめたり、又は奥様の側に倚添よりそひ乍ら談話はなしを聞いて微笑ほゝゑんで居るのであらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
やがて、すこし震えて男の傍へ倚添よりそいながら
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と私は御傍へ倚添よりそいました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)