さいわい)” の例文
お定は悲しむまえに、まず病が本物だったことをもっけのさいわいにわめき散らして、死神が舞いこんできよった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
そして私は、それを一々各地に問い合わせて、供述の真実であった事を立証させて頂けたらさいわいだと思います
旅客機事件 (新字新仮名) / 大庭武年(著)
「ばかをいえ。不発弾でなかったら、お前の生命いのちは、とっくの昔になくなっているわけじゃないか。不発弾であったのが、どのくらいさいわいだか、わかりゃしない」
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
幾多の人をあやめ、羅刹らせつにひとしい血をあびて、功名を争った者どもが、こうして、無事安心のすがたをの下に見合うことができたのは、さいわいといおうか、めでたいといおうか
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
働きもので、とにかく、毎日の御飯にことかかぬひとであればさいわいなり。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
よし、よし、向うから、しかけて来たのをさいわい公方くぼうの随一の、寵愛ちょうあいとかいう、あの浪路とやらを、巧言をもって、たぶらかし、思い切った仕方で、かの三斎めに、先ず第一の、歎きを見せて遣わそう。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
さいわいに廻文をりて聖明を感ず
連城 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)