修驗者しゆげんじや)” の例文
新字:修験者
振り返つてクワツと眼を剥いたのは、五十近い修驗者しゆげんじや、總髮に兜巾ときんを頂き、輪袈裟げさをかけて數珠じゆずを押し揉む、凄まじい髯男です。
ころ享保きやうほ丙申ひのえさるしも月十六日の事なりし此日はよひより大雪おほゆきふりて殊の外にさぶき日なりし修驗者しゆげんじや感應院には或人よりさけ二升をもらひしに感應院はもとより酒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
金毘羅參りから歸つた年の夏、修驗者しゆげんじやのやうな姿をした眼のよく光る男——其の男の眼を見てゐると自然に氣が遠くなる——が自分の家へ尋ねて來たことを竹丸は思ひ出した。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「倉の前へ供へて聲をかけると——蝠女が出て來て、運び込みます。修驗者しゆげんじやは腹が減らないのか、あまり食はないやうですね」
うたひを歌つてゐた浪人者も、齒磨を賣つて居た居合拔きも、法螺ほらの貝を吹き立てゝゐた修驗者しゆげんじやも姿を隱して、橋は暮色のうちに、靜かに暮れて行きます。
大膳坊覺方といふ修驗者しゆげんじやが、江戸中の地下には、はかり知れないほどの寳が埋まつてゐるに違ひない。それを片つぱしから掘り出して、諸人に援けを與へようといふ大願をたて、山を