修繕つくろ)” の例文
引剥ひきはがした紙をもとの通りに修繕つくろって、絵巻物を御本尊様の胎内に返してしまいましたが、盗む時よりも返す時の方が、よっぽど怖う御座いました……そうして
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
後で修繕つくろひでもしたらしい繼目があるのに、その細工さいくが精巧を極め、珠は固く定着して、一寸したことでは取れさうもなく、その上、珠の發する光りが、冷い焔となつて
小店こだなを構えて、武具馬具の修繕つくろいなどを、表むきの生業なりわいとして、それを手ヅルに南都、叡山の僧兵やら、諸家へも出入りして、宮方のおうごきなどを、ひそと探っておるよしにござりまする
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
流れの岸には紅楓もみじたぐいを植えそのほかの庭樹には松、桜、梅など多かり、栗樹くりなどのまじわるは地柄とちがらなるべし、——区何町の豪商が別荘なりといえど家も古び庭もやや荒れて修繕つくろわんともせず
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
 俺達の破れを修繕つくろい 傷を手当し
「橋の修繕つくろいが出来る間の仕事にはちょうどよい。あるだけ拾い集めて——」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)