供米くまい)” の例文
神前への供米くまい、『しず岩屋いわや』二冊、それに参籠用の清潔で白い衣裳いしょうなぞを用意するくらいにとどめて、半蔵は身軽にしたくした。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そして供物や供米くまいを権現堂にそなえてゆくばかりでなく、人々は、荒廃した堂宇どううに、多くの天狗の額を奉納した。それは土人形のような天狗の面を形作った額面だった。
天狗 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
(近ごろ、供米くまいのお取りたてが、余りにも、きつ過ぎるとて、下じもでは、俵のうちに、いろいろな思案でもつめこんで、供出するしかないというておる。……で、今に、俵も風に飛ぶほど、軽くなるであろうと思うて)
神前へのお初穂はつほ供米くまい、その他、着がえの清潔な行衣ぎょういなぞを持って、半蔵は勝重と一緒に里宮の方へ歩いた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
つまりお山開きのようなものなんだね。そんなときは、みんな揃って御馳走をこさえ、そして山神に供える鏡餅だとか供米くまいだとか珍らしい初実りの野菜とかを積んで出かけるんです。
不思議な国の話 (新字新仮名) / 室生犀星(著)