仮託かこつけ)” の例文
旧字:假託
父は寝られないと疳癪かんしゃくを起して、夜中に灰吹をぽんぽんたたくのが癖だ。煙草たばこむんだと云うが、煙草は仮託かこつけで、実は、腹立紛れに敲きつけるんじゃないかと思う。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もっともちょっとひく感冒かぜと、眩暈めまいは持病で、都合に因れば仮託かこつけでね——以前、私の朋達ともだちが一人、これは馴染なじみが有って、別なある待合へ行った頃——ちょいちょい誘われて出掛けた時分には
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)