仏蘭西窓フランスまど)” の例文
席を立った宗近君は、横から来て甲野さんの手を取るや否や、明け放った仏蘭西窓フランスまどを抜けて二段の石階を芝生しばふくだる。足が柔かい地に着いた時
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いとまを告げて帰った時には、私は思わず立ち上って、部屋の中の俗悪な空気を新たにしたい一心から、川に向った仏蘭西窓フランスまどを一ぱいに大きく開きました。
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「こりゃ空気が悪い。毒だ。少しけよう」と上下うえした栓釘ボールトを抜き放って、真中の円鈕ノッブを握るや否や、正面の仏蘭西窓フランスまどを、ゆかを掃うごとく、一文字に開いた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
肩に手を掛けて押すように石段をあがって、書斎に引き返した甲野さんは、無言のまま、扉に似たる仏蘭西窓フランスまどを左右からどたりと立て切った。上下うえした栓釘ボールトかたのごとくす。次に入口の戸に向う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)