仇討あだう)” の例文
それとも平常ふだんの議論の仇討あだうちかしら。そんならなおひどいわ。こんな場合にそんな事をいわれちゃどんなに迷惑するか知れやしない。
ニッケルの文鎮 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
もって、よう仇討あだうちをなされました。見ればお優しくて気高くて、それでいて勇気もおありなさる。紋也様とはよいお配偶つれあい、私などおよびもつきませぬ
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
堀部安兵衛が高田の馬場で三十人の仇討あだうちさへ出来たのも実に酒の為にエネルギーが沢山あったからです。みなさん、国家のため世界のため大に酒を呑んで下さい。
税務署長の冒険 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
昔の仇討あだうち物語を、最も興奮して読んでいる。女はみさおが第一、という言葉も、たまらなく好きである。命をかけても守って見せると、ひとりでこっそり緊張している。
ろまん灯籠 (新字新仮名) / 太宰治(著)
山岸の提言に他の社員たちも、佐藤加奈江を仇討あだうちに出る壮美な女剣客のようにはやし立てた。
越年 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
二人ふたりともやられたのかい? 知恵がないなあ。きみたちの仇討あだうちに僕がたいじてやろうか?」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
金森兵部少輔さまの御舎弟八良五郎はちろごろう様がお野懸けの帰りで、稻垣小三郎の仇討あだうちのことをお聞き遊ばし、おいでになりましたので、これから小三郎が粟田口國綱のお刀を殿さまに差上げました。
ところが、この頃又ヒョッコリ来はじめたところを見ると、何喰わぬ顔をして俺に仇討あだうちをしに来ているらしいから面白いじゃないか。だから俺も一つ何喰わぬ顔をして彼奴にあだを討たれてやるんだ。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)