仁川じんせん)” の例文
朝鮮に東学党の乱が起って、しん国がまず出兵する、日本でも出兵して、二十七年六月十二日には第五師団の混成旅団が仁川じんせんに上陸する。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
日露開戦、八日の旅順と九日の仁川じんせんとは急雷のように人々の耳を驚かした。紀元節の日には校門には日章旗にっしょうきが立てられ、講堂からはオルガンが聞こえた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
彼は支那ばかりでなく、最初は朝鮮、満洲へ渡って、仁川じんせんへも行き、京城けいじょうへも行き、木浦もっぽ威海衛いかいえい、それから鉄嶺てつれいまでも行った。支那の中で、一番気に入ったところは南京ナンキンだった。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
されば彼の仁川じんせん港に着するや、右の宣告書はたちまち領事館より彼が頭上に投げいだされぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
越えて昨年に入り、早春二月の初めより、羽檄うげき四方に飛び、急電到る事頻々ひんぴん、遂に仁川じんせん旅順の勝報伝はるに及んで、天下惨として感激の声に充ち、日露国際の関係は断絶せられたり。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
旅順りょじゅん仁川じんせんの海戦があってから、静かな田舎いなかでもその話がいたるところでくり返された。町から町へ、村から村へ配達する新聞屋の鈴の音は忙しげに聞こえた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)