交際まじわり)” の例文
鶉坂の老人は、五百之進とは、刎頸ふんけい交際まじわりがあった。そして、わが子郁次郎いくじろう許嫁いいなずけである花世を、ほんとの子みたいに可愛がッていた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和泉守と紋太郎とは役向きの相違知行の高下から、日頃交際まじわりはしていなかったが、顔は絶えず合わせていた。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
殿方とのがた交際まじわりはどうしてああさっぱりと行きとどいているのだろうと、お艶は涙のこぼれるほどうれしかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「夫婦の交際まじわりなんてものは、私にはただ苦しいばかりです。何の意味もありません」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
けれどもあさましい人間である以上、これから先何年交際まじわりを重ねても、この卑怯を抜く事はとうていできないんだという自覚があった。自分はその時非常に心細くなった。かつ悲しくなった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
刳袴くくりばかま袖無そでなしを着、鬱金うこんの頭巾を冠っている。他でもない猿若さるわかである。悪人には悪人の交際まじわりがあり、人買の一味と香具師の一味とは、以前まえから交際を結んでいた。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
交際まじわりを修め貿易をなし利益交換を致したいために」