亡兆ぼうちょう)” の例文
敵の強さは、ごうも怖るるにたりないが——と前提して、龍興の行状、国内の不統一、民心の怨嗟えんさ、眼にみえない亡兆ぼうちょうを一々あげて
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とにかく、義仲をたおして、都入りした鎌倉の勢力にも、もうその日から、後の非業ひごう亡兆ぼうちょうが約束されていたのである。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おひかえなさいとどろき、敵をあなどることはすでに亡兆ぼうちょうでござるぞ。伊那丸は有名なる信玄しんげんの孫、兵法に精通せいつう、つきしたがう傅人もりびともみな稀代きたいの勇士ときく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ああ。またそんな亡兆ぼうちょうがありましたか」と、眉をひそめた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)