争覇そうは)” の例文
権門の往来は、そのまま人心の縮図しゅくずだった。勢力の争覇そうはをめぐる人間分布図といってもよい。——秀吉は来る客来る客を迎えつつそれを眺めた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武家と武家との権力の争覇そうはが起っても、そういう大町人の門は、両方から保護されて、続くことも代々永く続いて来ているが、また御用立てを仰せつかることも
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その及び難いところへ、彼も遂にってしまった。そして地上の圏外からこの地上の争覇そうはを、今は永遠の傍観者として、脾肉ひにくの嘆きもなく、公平にていることであろう。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
源氏の棟梁とうりょう源ノ義朝は、中央の争覇そうはにやぶれて、子の悪源太義平や頼朝や数騎の幕僚のみをつれて、やっと血路をひらき、二十六日の夜から朝にかけ、比叡越えから堅田ノ浦を経
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やぶれれば朝廷たりとも、争覇そうはの敵のおごりにくっする覚悟のもとでなければならない。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これまでの九州は、いわば中央争覇そうは圏外けんがいだった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)