争奪そうだつ)” の例文
旧字:爭奪
「柳生の金なら、柳生のものじゃのに、何者がそれを横からねらいおるのか。余も、その争奪そうだつに加わろうかな、あははははは」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
で、鐘巻一火かねまきいっかたまへ、凱歌がいかそうしてひきあげてきたはいいが、それほどまで争奪そうだつ焦点しょうてんとなっていた、かんじんな咲耶子その者のすがたが、いつのまにかうしなわれていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういつもいっていた父が、急に選挙に熱してきたことをふしぎに思った、選挙は補欠選挙ほけつせんきょであるから、たったひとりの争奪そうだつである、だがひとりであるだけに競争がはげしい。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
口をっぱくして彦太郎は、組合の必要なことを説き、どうにかこうにか、そういうことなれば作ってもよいという空気にまで漕ぎつけたのだが、彼等は今までお互に得意の争奪そうだつをやって来た手前
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「ウム。それだな。五ヵ国を割いて献じるといえば大譲歩しているようだが、備後一国をのぞくほかは、今なお争奪そうだつの地で、必ずしも、毛利方の領下として治められている地ではない」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
龍虎りゅうこのあいだにけられてある争奪そうだつの珠。それが、播州ばんしゅう一国だった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)