乾飯ほしいい)” の例文
天はあくまで碧色あおいろで、地は涯ない白さであった。それでも万一のために乾飯ほしいいを腰につけ、磁石を前帯にはさんでいた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
日にげたる老翁ろうおう鍬を肩にし一枝いっしの桃花を折りて田畝でんぽより帰り、老婆浣衣かんいし終りて柴門さいもんあたりたたずあんにこれを迎ふれば、飢雀きじゃくその間をうかがひ井戸端の乾飯ほしいいついば
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
前者については怪我けがにもトウコボシまたはトウコボレと呼んだ例を聞かぬこと、後説に付いては稲を乾飯ほしいいというのが家猪ぶたをハムと呼ぶと同様不自然であることである。
また同国楯縫たてぬい沼田ぬた郷に付きても、昔宇乃治比古命うのちひこのみことがニタの水を乾飯ほしいいにかけて食わるるとて、にたにしまさんと言われしゆえ、ニタと言うべきを今はヌタと言うとある。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)