乾干ひぼし)” の例文
「それで何とも言つて来ないのか。無けりや、乾干ひぼしになつても食はずにゐるのか。何うしても変だな、不思議だな。」考へて
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
は愛をざきにする。面当つらあてはいくらもある。貧乏は恋を乾干ひぼしにする。富貴ふうきは恋を贅沢ぜいたくにする。功名は恋を犠牲にする。我は未練な恋を踏みつける。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
併し考えで見ると、森山の旦那が、あそこの土地を売らながったのだって、ああして困ってのだって、俺等を乾干ひぼしにしめえど思ってのごとなんだがらな。
黒い地帯 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
殺す気になれないと同じように、彼女だってまた亭主や子供の為めに乾干ひぼしになると云うことは出来ないのだ
子をつれて (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
殺す氣になれないと同じやうに、彼女だつてまた亭主や子供の爲めに乾干ひぼしになると云ふことは出來ないのだ
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)