乗地のりじ)” の例文
旧字:乘地
とさも聞惚ききとれたる風を装おい、愉快おもしろげに問いかくれば、こは怪談の御意に叶いしことと亭主はしきり乗地のりじとなり
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
江州の返事が来ない内、千歳村の石山氏は無闇むやみ乗地のりじになって、さいわい三つばかり売地があると知らしてよこした。あまり進みもしなかったが、兎に角往って見た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「僕も新体詩なら作ったことがあるよ」と松木が今度は少し乗地のりじになって言った。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
乗地のりじに成ッて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
縁はなもので、ゴルドン伝を書いた翌々年「寄生木やどりぎ」の主人公から突然「寄生木」著作の事を委托いたくされた。恩人たる乃木将軍の為めにと云う彼のであった。余は例に無く乗地のりじになって引受けた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)