世相せそう)” の例文
いやいや、いつまた、知事が代って、再吟味されまいものではなし、また、今の世相せそうはあてにもならぬ。こんな旧家を持ち支えるため、宋清も、あたら一生を
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ今自分の頭の中にごたごたしている世相せそうとは、とても比較にならない。三四郎はあの時の印象をいつのまにか取り落していたのを恥ずかしく思った。すると
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その間の一年と二三か月の月日のことを清三は考えずにはおられなかった。その間はかれにとっては暗黒な時代でもあり、また複雑した世相せそうにふれた時代でもあった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
この一年有半ゆうはん歳月さいげつに、そなたはいまの世相せそうをよくながめたであろう。どうであった戦国の浮世うきよは。わけても百姓ひゃくしょう町人ちょうにん——いやそれよりもっと貧しいたみたちのくるしみはどうであろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)