下生したばえ)” の例文
下生したばえ羊歯しだなどの上まで、日の光が数知れず枝をさしかわしている低い灌木かんぼくの隙間をようやくのことで潜り抜けながら、まだらに落ちていて
風立ちぬ (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
下生したばえを奇麗に払った自然の築山つきやま、砂地の踏心地ふみごこちもよく、公園の名はあっても、あまり人巧じんこうの入って居ないのがありがたい。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
この上もなくよい香を放つ蔓性植物や花の下生したばえが、人の手による精巧極まる仕事の豊かな骨組みをなしていることは、日光をして一層感銘深いものにしている。
どうしたらいいのでせう? 人が云つてゐますよ、あの丘のそばの下生したばえの中には蝮がゐるつて。
岩のすぐ下手に、緑の芝地のごく小さな凹地くぼちがあって、それが、土手と、その辺にすこぶるたくさん生えている膝くらいまでの高さのこんもりした下生したばえとで隠されていた。
そこでは、ヘブリディーズあたりの波のように、低い下生したばえが絶えずざわめいている。しかし天には少しの風もない。そして太古からの高い樹々きぎは強い轟音ごうおんをたてて永遠に彼方此方へ揺れている。
舟を水草みづくさの岸に着けさして、イタヤの薄紅葉の中を彼方此方あちこちと歩いて見る。下生したばえを奇麗に拂つた自然の築山、砂地の踏心地もよく、公園の名はあつても、あまり人巧の入つて居ないのがありがたい。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
けふは、下生したばえ枯葉かれはの山
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
三番目の木は一むら下生したばえの上に二百フィート近くも高く空中に聳え立っていた。巨人のような植物で、赤い幹は小屋ほどの大きさがあり、その周囲の広い樹蔭こかげでは歩兵一箇中隊でも演習が出来たろう。