下天げてん)” の例文
これはみな、宋朝そうちょう腐爛ふらんの悪世相が、下天げてんに描きだしつつある必然な外道げどうの図絵だ——。これを人心のすさびと嘆くも、おろかであろう。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あのものたちにせんを越されたぞ、こちらでもあれに負けるなとっしゃって、「人間五十年、下天げてんのうちをくらぶれば」と御じぶんがまっさきに敦盛あつもりをおうたいなされました。
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
思いを下天げてんらし、誓いを上天にささげ、七日七夜、つつしんで祈りのぎょうに服したいと思うのですがどうでしょうか
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沙弥文覚しゃみもんがくうやまって、路傍の大衆だいしゅに申す。それ、いますがたを見るに、雲上の月は、絶えまなく政権まつりの争奪と、逸楽の妖雲にたわむれ下天げてんの草々は、野望の武士の弓矢をつつむ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「仏は、衆生を利したもうばかりに、下天げてんしておわす。どちらでもよろしい」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)