上手下手じょうずへた)” の例文
僕が畜生とまでぎつけた女にそんな優しみがあるのかと、上手下手じょうずへたを見分ける余裕もなく、僕はただぼんやり見惚みとれているうちに
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
もとより刀剣の胎生たいせいに大切なところで、これによって鋭利凡鈍ぼんどんも別れれば、また鍛家の上手下手じょうずへたもきまろうというのだが。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
同じ谷渡りや高音にも節廻ふしまわしの上手下手じょうずへた余韻よいんの長短等さまざまであるから良き鶯をることは容易にあらず獲れば授業料のもうけがあるので価の高いのは当然である。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その時の演奏の出来は、大方忘れてしまったが、我々期待にふるえる者にとっては、ただ感激があるのみで、上手下手じょうずへたなどの詮議は、恐らく考えてもいなかったであろう。
この作者宗鑑という人は今からおよそ三百年ばかりも前の時代の人で、その時代はこの掛言葉が流行して、その掛言葉の上手下手じょうずへたがやがて俳句の上手下手と見做みなされたのであって
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)