上役人かみやくにん)” の例文
上役人かみやくにんの扱いに不服を唱えるとは不届千万ふとゞきせんばんな奴だと云って、その三人を庭のの枝にくゝり上げ、今日で三日半ほど日乾ひぼしにされて居ります
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「しかし、それにしてはに落ちぬ御作法、上役人かみやくにんともある方々が、なんで、吾らのくくり舟へ、会釈もなく踏みこみ召された」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちょっと上役人かみやくにんをいためつけ、おれは江戸無宿だからどうともままにしてくれと言ってひっくりかえれば、即座に島へぶちこんで、けっこうな手仕事をさずけてくれる。
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
と、したり顔の同心が、お綱の姿を指さしたので、弦之丞はあまり笑止な上役人かみやくにんの勘違いに、笑うまいとしても笑わずにはいられなかった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其のおりは御用多端の事で、御用のを欠き、不取調べをいたし、左様な者を引いてまいり、上役人かみやくにんの迷惑に相成る事を仕出しでかし、御用の間を欠き、不届ふとゞきの至りと有って
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
南町奉行所みなみまちぶぎょうしょの用命をおびて江戸から出張してきたふたりの上役人かみやくにんは、急に、振分からとり出した女の人相書と、庭向うの小窓によっているお千絵の横顔とを見くらべて
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ならば奥へ酒さかなを用意しておけ。奴らもいつか俺にむかって、酒の上だが、今の世の鬱憤うっぷんやら上役人かみやくにん非道ひどうを鳴らしていたことがある。存外、こいつア乗ってくるかもしれねえ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)