三艸子みさこ)” の例文
女流歌人まつ三艸子みさこは長命であったが、その前身は井上文雄の内弟子うちでしめかけで、その後、深川松井町の芸妓小川小三おがわこさんである。
明治大正美人追憶 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
きみ子君に三艸子みさこ
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
三艸子みさこの妹もうつくしい人であったが、尾上おのえいろともいい、荻野八重桐おぎのやえぎりとも名乗って年をとってからも、踊の師匠をして、本所のはずれにしがない暮しをしていた。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
舟の中といへば、まつ三艸子みさこといふ歌人が、本所松井町の藝者になつてゐた時分、水戸の天狗黨の人々に、船の中で白刀で圍まれた話は、もう傳説になつて作り話化してきた。
河風 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
歌人まつ三艸子みさこも数奇な運命をもっていた。八十歳近く、半身不随になって、妹の陋屋ろうおくでみまかった。その年まで、不思議と弟子をもっていて人に忘れられなかった女である。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)