万創膏ばんそうこう)” の例文
色の黒い、背の高い、骨格の逞しい肥った男で、眉の間と鼻の頭に五分角ぐらいの万創膏ばんそうこうを二つ貼っていたので、店員は最初何がなしに柔道の先生と思っていた。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お千代は晴着をつけたまま殺されていた。矢張やはり心臓には短刀がプスリと突きたてられ、警視庁で眼をつけていた万創膏ばんそうこうも肩のあたりに発見せられた。すべて同一手法の殺人である。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
活栓かっせんと針を手早く添えて、中味の液体をシーソー式に動かすと、薬の残りを箱の中の瓶に返して、右手にアルコールをひたした脱脂綿と、万創膏ばんそうこうを持ちながら薬局を出て来た。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それは第二の犠牲者たるふみ子の肩のところに貼ってある万創膏ばんそうこうについて生前せいぜんふみ子が、おできが出来たとか、傷が出来たとか言っていなかったかという質問である。鈴江は知らないと答えた。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ナカナカ重役の仕込みがいいな貴様は……チャッカリしている。それは硼酸軟膏ほうさんなんこう万創膏ばんそうこうと脱脂綿だ。薬屋に持って行けばわかる。早く行け、この奥さんの鼻の頭に附けるんだ」
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ふみ子の首の万創膏ばんそうこうをとって見たが、穴が相当深くあいていた。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)