七八ななや)” の例文
こんなような、七八ななやつの子供が夢みますような、甘えた、安らかな気持ちになりまして、うつつともなくウトウトしながら上りの汽車に乗ったことで御座いました。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
成程、漁師町をめぐったり、別荘の松原を廻ったり、七八ななや筋に分れて、また一ツになって海へそそぐが、そこくとこれでも幅が二十間ぐらい、山も賦になれば、船も歌える、この様子では汐がそう。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
七八ななやここのツばかり、母が存生ぞんしょうの頃の雛祭ひなまつりには、毛氈もうせんを掛けた桃桜ももさくらの壇の前に、小さな蒔絵まきえの膳に並んで、この猪口ちょこほどな塗椀ぬりわんで、一緒にしじみつゆを替えた時は、この娘が、練物ねりもののような顔のほかは
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)