トップ
>
一齣
>
ひとこま
ふりがな文庫
“
一齣
(
ひとこま
)” の例文
ファウスト劇の中にメフィストフェレスがファウスト博士に化けて訪問の学生をあしらう
一齣
(
ひとこま
)
があるが、私はあれを思いついたのである。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
ガラツ八の八五郎は、
薫風
(
くんぷう
)
に鼻をふくらませて、明神下の平次の家の、庭先から顎を出しました。いとも
長閑
(
のどか
)
な晝下りの
一齣
(
ひとこま
)
。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
だがこれでつとめが終ったのではない、良人が帰るまでにはもっと苦しい悲しいことがあるであろう、これはその初めの僅かな
一齣
(
ひとこま
)
にすぎないのだ。
日本婦道記:忍緒
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
まず、らくだの死骸を背負いし紙屑屋、高田辺りの質屋を叩き起こして、この死骸を質入れさせよ、しからずんば
某
(
なにがし
)
かよこせよといたぶるの
一齣
(
ひとこま
)
あり。
随筆 寄席囃子
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
彼等は現実のどの
一齣
(
ひとこま
)
にも才に富み、無芸大食の徒輩のやうな重さや危なさがなかつたのです。
女占師の前にて
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
冬の、
崖氷柱
(
がけつらら
)
の下に、ここへ
墜
(
お
)
ちて死んだ蝦夷萩のことが、はっきり、少年の日の思い出の
一齣
(
ひとこま
)
として、うかんでくる。忘れ得ない彼女の唇の熱さも想う。小次郎は、ぼんやりしていた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これではいけないというので、新政府は、更に強硬なる第二の抗議書を送り、且つその抗議書に添えて、風間三千子が撮影した顔子狗の
最期
(
さいご
)
を示すフィルムの
一齣
(
ひとこま
)
を引伸し写真にして
添付
(
てんぷ
)
した。
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
はしなくも幼友達の名をわが思い出の
一齣
(
ひとこま
)
のうちにしるしとどめる折りに
遇
(
あ
)
った。御輿を担ぐ面々はみな私の
竹馬
(
ちくば
)
の友である。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
この
一齣
(
ひとこま
)
は無駄であり、ひいて小説全体が小学生の綴り方以上の何物でもないのである。
枯淡の風格を排す
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
珍しく二階にしつらえられた本堂で私は、文楽君と並んで座って、ぼんやり読経を聞いていました。芥川さんの何かの小説に「読経を新内のように聴いていた」という
一齣
(
ひとこま
)
がありましたね。
随筆 寄席風俗
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
齣
漢検1級
部首:⿒
20画
“一齣”で始まる語句
一齣一齣