一簾いちれん)” の例文
流鶯りゅうおう啼破ていは一簾いちれんの春。書斎にこもっていても春は分明ぶんみょうに人の心のとびらひらいて入込はいりこむほどになった。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
すると、一簾いちれんの蔭からさし招くものがあった。たれかとみれば、これも近ごろ勲功の臣として、内裏でも、また外でも、かくれない羽振りの人、千種ちぐさとうノ中将忠顕ただあきだった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)