“ようりゅうかんのん”の漢字の書き方と例文
語句割合
楊柳観音100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
飯はようやくおわる。膳を引くとき、小女郎が入口のふすまあけたら、中庭の栽込うえこみをへだてて、向う二階の欄干らんかん銀杏返いちょうがえしが頬杖ほおづえを突いて、開化した楊柳観音ようりゅうかんのんのように下を見詰めていた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうしてその上には怪しげな楊柳観音ようりゅうかんのんの軸が、すすけた錦襴きんらん表装ひょうそうの中に朦朧もうろう墨色ぼくしょくを弁じていた。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ランプは相不変あいかわらず私とこの無気味ぶきみな客との間に、春寒い焔を動かしていた。私は楊柳観音ようりゅうかんのんうしろにしたまま、相手の指の一本ないのさえ問いただして見る気力もなく、黙然もくねんと坐っているよりほかはなかった。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)