“やすきち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
保吉77.8%
安吉22.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
去年の春の、——と云ってもまだ風の寒い、月のえたよるの九時ごろ、保吉やすきちは三人の友だちと、魚河岸うおがしの往来を歩いていた。
魚河岸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
保吉やすきちは二階の食堂を出た。文官教官は午飯ひるめしのちはたいてい隣の喫煙室きつえんしつへはいる。彼は今日はそこへ行かずに、庭へ出る階段をくだることにした。
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
表からやみくもに跳込んできた安吉やすきち、お天気安という綽名あだなのある若い者だ、——ちょうどいま上りっぱなで、愛用の鳶口とびくちを磨いていたは組の火消し頭佐兵衛さへえ
初午試合討ち (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その中の一ツは出入りの安吉やすきちという植木屋が毎年々々手入ていれの松の枯葉かれは、杉の折枝おれえだ、桜の落葉、あらゆる庭の塵埃ちりあくたを投げ込み、私が生れぬ前から五六年もかかってようやくに埋め得たとう事で。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)