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ほどばし
遠い所でかう云つた畑尾の
声が鏡子の耳に響いた。
迸るやうな
勢で涙の出て来たのはこれと同時であつた。
その土煙の舞い
上る
合間に、薄紫の光が
迸るのも、昼だけに、一層悲壮だった。しかし二千人の
白襷隊は、こう云う砲撃の中に
機を待ちながら、やはり平生の元気を失わなかった。
自土即浄土と観じさえすれば、
大歓喜の笑い声も、火山から
炎の
迸るように、自然と
湧いて来なければならぬ。おれはどこまでも
自力の信者じゃ。——おお、まだ一つ忘れていた。