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つきまる
かくて僕
去る日、黄金ぬしに追れしより、かの
月丸が
遺児、僕及び大王を、
仇敵と狙ふ由なりと、金眸に告げしかば。
県、
赤魚、
月丸、
鯖、
小次郎、お
小夜の六人である。お小夜だけが女である。
さきに
文角ぬしが物語に、
聴水といふ狐は、かつてわが父
月丸ぬしのために、尾の尖
咬切られてなしと聞きぬ。今彼の狐を見るに、尾の尖
断離れたり。恐らくは聴水ならん。
ここにこの里の
荘官の家に、
月丸花瀬とて
雌雄の犬ありけり。年頃
情を
掛て飼ひけるほどに、よくその恩に感じてや、いとも
忠実に
事ふれば、年久しく
盗人といふ者
這入らず、家は
増々栄えけり。