“だみごゑ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
濁声55.6%
濁聲44.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
壁一重の軒下を流れる小堰こぜきの水に、蝦を掬ふ小供等の叫び、さては寺道を山や田に往返ゆきかへりの男女の暢気のんき濁声だみごゑが手にとる様に聞える——智恵子は其聞苦しい訛にも耳慣れた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
階子段の上から帳場に向けて、註文をとほす金切声の間に、かういふ店の客に似合はしいやうな、書生上りの匂ひのからまり付いた濁声だみごゑがこゝを先途とがなり立てられてゐた。
(新字旧仮名) / 有島武郎(著)
火光あかりまぶしく洩れて、街路を横さまに白い線を引いてゐたが、蟲の音も憚からぬ醉うた濁聲だみごゑが、時々けたゝましい其店の嬶の笑聲を伴つて、喧嘩でもあるかの樣に一町先までも聞える。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
隣り座敷では三味線さみせんがいよ/\はげしくなつて、濁聲だみごゑうたふ男の聲も聞えた。唄ひ終ると、男も女もどつと一時に笑ひはやすのが、何かのくづれ落ちるやうな勢ひであつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)