“すいてき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
水滴50.0%
吹笛16.7%
垂滴16.7%
翠滴16.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして一人の長身の紳士が、ぬっと立ち現れた。その手には写真の印画紙いんがしらしいものを二三枚もっているが、いま水から上げたばかりと見えて水滴すいてきがぽたぽた床のうえに落ちた。
什器破壊業事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そう言ってから八戒は、自分がこの世で楽しいと思う事柄を一つ一つ数え立てた。夏の木蔭こかげの午睡。渓流の水浴。月夜の吹笛すいてき。春暁の朝寐あさね。冬夜の炉辺歓談。
破目われめから漏れおちる垂滴すいてき水沫しぶきに、光線が美しい虹を棚引たなびかせて、たこ唸声うなりごえなどが空に聞え、乾燥した浜屋の前の往来には、よかよかあめの太鼓が子供を呼んでいた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
果物屋ではリンゴにみがきをかけている男がいる。何年にも口にしたことのないリンゴの幻影が、現実ではぴかぴかと紅くまるい。柿も、ぶどうも、いちじくも、翠滴すいてきがしたたりそうな匂い。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)