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しゆつやく
入れ殺生する
曲者ありとの
訴へに付私し
出役仕つり引き捕へ
吟味仕り候處に
彼曲者は紀伊家の徳太郎
信房卿の御名前を
右の通り
出役の者
取調べし上書付二通大岡越前守殿へ差出しけるに
依て越州殿には
扨こそ
推量に
違はず外に
惡賊有ことと是より
專ら其本人を
種々詮議されけるとなん
見るより今日
出役の
與力駈來る是ぞ島秀之助といふ者なり
大音上て
下乘々々と制せしが更に
聞ぬ風して
尚も門内へ
舁込んとす
此時島秀之助
駈寄天一坊の乘物の
棒鼻へ手を