“しめっ”の漢字の書き方と例文
語句割合
湿100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
見上げると四面の高い山のいただきが赤く禿げて、日暮方の秋の日が当っているが、もう谷底は日蔭となって湿しめっぽい気が満ち満ちていた。恐らく一日中この谷底には、日の光が落ちぬのであろう。
捕われ人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひっそりした町を指さされたあたりから、両側の家の、こう冷い湿しめっぽいなかから、暗い白粉おしろいだの、赤い油だのが、何となく匂って来ると——昔をしのぶ、——いや、宿しゅくのなごりとは申す条、通り筋に
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
北国ほっこくの夏の空は、暮るると間もなく濃紺に澄み渡る。星は千年も二千年も前に輝いた光と同じく、今宵こよい始めて、この世を照すように新しく、鮮やかに、湿しめっぽい光は草の葉の上や、藁家わらやの上に流れた。
(新字新仮名) / 小川未明(著)