“こぐん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
孤軍66.7%
胡軍33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
知らないうちに重囲じゅういのうちに自分を見出みいだした孤軍こぐんのような心境が、遠くから彼女を襲って来た。彼女は周囲あたりを見廻した。しかしそこには夫を除いてたよりになるものは一人もいなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
当夜若君の孤軍こぐんは、いちどは重囲じゅういにおちいられたが、折もよし、人穴城ひとあなじょうの殿堂から、にわかに猛火を発したので、さすがの呂宋兵衛るそんべえも、間道かんどうから逃げおちて、のこるものは阿鼻叫喚あびきょうかんの落城となった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ややあって軍吏ぐんりの一人が口を切り、先年浞野侯さくやこう趙破奴ちょうはど胡軍こぐんのために生擒いけどられ、数年後に漢にげ帰ったときも、武帝はこれを罰しなかったことを語った。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
翌日からの胡軍こぐんの攻撃は猛烈を極めた。捕虜ほりょの言の中にあった最後の猛攻というのを始めたのであろう。襲撃は一日に十数回繰返された。手厳てきびしい反撃を加えつつ漢軍は徐々に南に移って行く。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
もちろん彼自身にはそんな覚えはないが、同じ漢の降将に李緒りしょという者がある。元、塞外都尉さいがいといとして奚侯城けいこうじょうを守っていた男だが、これが匈奴きょうどくだってから常に胡軍こぐんに軍略を授け兵を練っている。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)