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こうようさんじん
柳之助が
亡妻の墓に雨がしょぼ/\降って居たと
葉山に語る
条を読むと、
青山墓地にある
春日燈籠の立った
紅葉山人の墓が、
突と眼の前に
現われた。
即ちゲーテが作『若きウェルテルの
愁』、シャトオブリヤンが作『ルネエ』の
類なり。わが国にては
紅葉山人が『
青葡萄』なぞをやその
権輿とすべきか。
三十男の遊び盛りを今が世の
絶頂と誰れが目にも思われる気楽そうな
独身で
老婢一人を使っての
生活むきはそれこそ
紅葉山人の小説の中にでもありそうな話で