“くんし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
君子94.4%
裙子5.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
斯くてお隣りへ入った泥棒は一もつも得なかったが、浩二に梁上りょうじょう君子くんし概念がいねんを与え、家のブル公の声価を四隣に高からしめた。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
一方では例の“梁上りょうじょう君子くんしのみ時遷じせん。あの朝、首尾よく盗みとった一物をかついで、明けがた、早くも城外の草原を低いがんのごとく飛んでいた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しばらく休息の時を与えるため、接待役の僧が一室に案内し、黒い裙子くんしを着けた子坊主こぼうず高坏たかつきで茶菓なぞを運んで行って一行をもてなした。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
第一に現れたのは、彼の母親のうすよごれた裙子くんしである。子供の時の彼は、嬉しい時でも、悲しい時でも、何度この裙子にすがったかわからない。
首が落ちた話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ある川のふちの泥の中にころがりながら、川楊かわやなぎの木の空を見ていると、母親の裙子くんしだの、女の素足すあしだの、花の咲いた胡麻ごま畑だのが、はっきりその空へ見えたと云うのだが。
首が落ちた話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あいつが前に見た母親の裙子くんしとか、女の素足とか、あるいはまた花のさいている胡麻畑とか云うものは、やはりそれと同時にあいつの眼の前を、彷彿として往来した事だろう。
首が落ちた話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)