“裙子(くんし)” の例文
しばらく休息の時を与えるため、接待役の僧が一室に案内し、黒い裙子(くんし)を着けた子坊主(こぼうず)は高坏(たかつき)で茶菓なぞを運んで行って一行をもてなした。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
第一に現れたのは、彼の母親のうすよごれた裙子(くんし)である。子供の時の彼は、嬉しい時でも、悲しい時でも、何度この裙子にすがったかわからない。
首が落ちた話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ある川のふちの泥の中にころがりながら、川楊(かわやなぎ)の木の空を見ていると、母親の裙子(くんし)だの、女の素足(すあし)だの、花の咲いた胡麻(ごま)畑だのが、はっきりその空へ見えたと云うのだが。
首が落ちた話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あいつが前に見た母親の裙子(くんし)とか、女の素足とか、あるいはまた花のさいている胡麻畑とか云うものは、やはりそれと同時にあいつの眼の前を、彷彿として往来した事だろう。
首が落ちた話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)