“うつりが”の漢字の書き方と例文
語句割合
移香100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
土手八丁どてはっちょうをぶらりぶらりと行尽ゆきつくして、山谷堀さんやぼり彼方かなたから吹いて来る朝寒あさざむの川風に懐手ふところでしたわが肌の移香うつりがいながらやま宿しゅくの方へと曲ったが
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
玫瑰まいかいの芳烈なるかおりか、ヘリオトロウプの艶に仇めいた移香うつりがかと想像してみると、昔読んだままのあの物語の記憶から、処々しょしょの忘れ難い句が、念頭に浮ぶ。
『新訳源氏物語』初版の序 (新字新仮名) / 上田敏(著)
打披うちひろげたりし油紙を取りて直行の目先へ突付くれば、何を包みし移香うつりがにや、胸悪き一種の腥気せいきありておびただしく鼻をちぬ。直行はなほも逆はでむ無くおもてそむけたるを、狂女は目をみはりつつ雀躍こをどりして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)