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後家
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ごけ
ふりがな文庫
“
後家
(
ごけ
)” の例文
おかみさんのカラスは、
後家
(
ごけ
)
さんになってね、黒い毛糸の切れっぱしを足につけて歩いてるよ。とんでもなくなげき悲しんでるよ。
雪の女王:――七つのお話からできている物語――
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
家の中には紛失物は無いらしく、天井裏からボロ
片
(
きれ
)
に包んで、少しばかり纒まつた金の出て來たのも、
後家
(
ごけ
)
らしいたしなみでした。
銭形平次捕物控:296 旅に病む女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
耄碌
(
もうろく
)
したと自分ではいいながら、若い時に
亭主
(
ていしゅ
)
に死に別れて立派に
後家
(
ごけ
)
を通して後ろ指一本さされなかった
昔気質
(
むかしかたぎ
)
のしっかり者だけに
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
欺
(
だま
)
し討になし其金を
奪
(
うば
)
ひ
取
(
とり
)
夫
(
それ
)
而已成
(
のみなら
)
ず文妹富を
欺
(
あざむ
)
きて遊女に賣渡し同人の身の代金三十兩を
掠
(
かす
)
め
取
(
とり
)
其後十兵衞
後家
(
ごけ
)
安
(
やす
)
を己れが惡事
露顯
(
ろけん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「わかる、わかる、おばばの気持はよくわかる。さすがは、
新免宗貫
(
しんめんむねつら
)
の
家中
(
かちゅう
)
で重きをなした本位田家の
後家
(
ごけ
)
殿だけのものはある」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
余程教育ある婦人でも
後家
(
ごけ
)
を
立
(
た
)
て通すというような美しい意気をもって世を過すという婦女子はチベットにはほとんどないです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「わたくしは
一番
(
いちばん
)
ヶ
瀬
(
せ
)
半兵衛
(
はんべえ
)
の
後家
(
ごけ
)
、しのと申すものでございます。実はわたくしの
倅
(
せがれ
)
、
新之丞
(
しんのじょう
)
と申すものが大病なのでございますが……」
おしの
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
後家
(
ごけ
)
孀婦
(
そうふ
)
の淋しき人々にも、
勿論
(
もちろん
)
この時には仕事があったが、それは一年の永い日数に比べると、幾らでもなかったのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
得念は
木挽町
(
こびきちょう
)
に住居致候商家の
後家
(
ごけ
)
と、年来道ならぬ
契
(
ちぎり
)
を結び、人の
噂
(
うわさ
)
にも上り候ため
度々
(
たびたび
)
師匠よりも意見を加へられ候由。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「その庄司のお嬢様を清姫という——一説にはお嬢様ではない、まだ水々しい若い
綺麗
(
きれい
)
な
後家
(
ごけ
)
さんであったとも申します」
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何々屋
(
なになにや
)
の
後家
(
ごけ
)
さんが、
帯
(
おび
)
を
縫
(
ぬ
)
ってやったとか。
酒問屋
(
さけとんや
)
の
娘
(
むすめ
)
が、
舞台
(
ぶたい
)
で
揷
(
さ
)
した
簪
(
かんざし
)
が
欲
(
ほ
)
しさに、
親
(
おや
)
の
金
(
かね
)
を十
両
(
りょう
)
持
(
も
)
ち
出
(
だ
)
したとか。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
又はその当時の話題になっていたこの『美人
後家
(
ごけ
)
殺しの迷宮事件』の真相を、古い色情関係と睨んでいた新聞記者が、そんなネタを探し出した。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
精米所では、東京風の
品
(
ひん
)
のいい
上
(
かみ
)
さんが、家に
引込
(
ひっこみ
)
きりで、浜屋の
後家
(
ごけ
)
に産れた主人の男の子と、自分に産れた二人の女の子供の世話をしていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それを聞いて、与兵衛らはひどく驚いたらしく、いまは
後家
(
ごけ
)
となった女房のお才をはじめ、親類一同を奥の間へ呼びあつめて、俄かに評議を開いた。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と云ふのは、この頃、大黒座で打つてゐる役者一座の一人が、さうたび/\、
後家
(
ごけ
)
さんや娘に買はれに來るのだと思はれては、迷惑だからであつた。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
けれども、
後家
(
ごけ
)
さんはこのみにくいなまけもののほうの子をずっとかわいがっていました。だって、この子はじぶんのほんとうのむすめなんですからね。
ホレおばあさん
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
このまま、婚家へ止めて置いて一生
後家
(
ごけ
)
暮らしをさせるのは不憫である。一旦、里方へ帰し、そして改めてどこかへ嫁に行けるようにしてやらずばなるまい。
盗難
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
やっぱり近所に住んでいたが、みんな
後家
(
ごけ
)
さん——後家さんはお
母
(
っか
)
さん一人で、あとは
老嬢
(
おうるどみす
)
だったのかも知れないが、女ばかり
四人
(
よったり
)
してキチンと住んでいた。
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
裸体祭の
風流男
(
みやびお
)
とを百年の仇と思いつめるような、
情
(
なさけ
)
知らずの乙女でも、櫛を折り、鏡を砕き、赤き色のあらゆる衣を引き裂いて、操を立てた若い
後家
(
ごけ
)
でも
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
軍人は軍人で、
殊
(
こと
)
に下士以下は人の娘は
勿論
(
もちろん
)
、
後家
(
ごけ
)
は勿論、
或
(
あるい
)
は人の妻をすら
翫弄
(
がんろう
)
して、それが当然の権利であり、国民の義務であるとまで済ましていたらしい。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
姉さんが一人、お悦といって
後家
(
ごけ
)
を通した人(後に私の養母である)、この人が台所をやるという風で、
姉弟
(
きょうだい
)
三人水入らずで平和に
睦
(
むつ
)
まじくやっていたのであります。
幕末維新懐古談:06 高村東雲の生い立ち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そうして今の水々しさも若々しさも、実は彼女に数年の間
後家
(
ごけ
)
と同じ生活をさせた必然の結果であることを思うと、哀れと云うよりは不思議な寒気を覚えるのであった。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
人
(
ひと
)
の
不幸
(
ふこう
)
は
生
(
うま
)
れながらに
後家
(
ごけ
)
さまの
親
(
おや
)
を
持
(
も
)
ちて、すがる
乳房
(
ちぶさ
)
の
甘
(
あま
)
へながらも
父
(
ちヽ
)
といふ
味夢
(
あぢゆめ
)
にも
知
(
しら
)
ず、
物
(
もの
)
ごヽろ
知
(
し
)
るにつけて
親
(
おや
)
といへば
二人
(
ふたり
)
ある
他人
(
ひと
)
のさまの
羨
(
うら
)
やましさに
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「ありがとうござります、主人喜兵衛はじめ、
後家
(
ごけ
)
弓とも、よろしく申しました。承わりますれば、御内室お岩さまが、お産がありましたとやら、お
麁末
(
そまつ
)
でござりますが」
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
前
(
まい
)
へも
後
(
うしろ
)
へも廻る
重宝
(
ちょうほう
)
な屏風で、
反古張
(
ほごばり
)
の
行灯
(
あんどん
)
の
傍
(
そば
)
に
火鉢
(
ひばち
)
を置き、土の
五徳
(
ごとく
)
に
蓋
(
ふた
)
の
後家
(
ごけ
)
になって
撮
(
つまみ
)
の取れている
土瓶
(
どびん
)
をかけ、番茶だか湯だかぐら/\煮立って居りまして
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
母の知合いの
後家
(
ごけ
)
さんの家に下宿しているというので、私も無論その男を見て知ってはいる。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
アーサの母親はイギリス人であった、名前をミリガン
夫人
(
ふじん
)
と言った。
後家
(
ごけ
)
さんで、アーサは一人っ子であった。少なくとも生きているただ一人の子どもだと考えられていた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
金五郎
後家
(
ごけ
)
を立ててる女のところへ、俺が婿にはいろうというのに不思議はねえ。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
吾
(
ワ
)
だケエに十年も
後家
(
ごけ
)
立デデせ、
他
(
ホガ
)
の
家
(
エ
)
ガら
童
(
ワラシ
)
貰
(
もら
)
て
藁
(
わら
)
の上ララ
育
(
そだ
)
デデ見デも、
羸弱
(
キヤな
)
くてアンツクタラ病氣ネ
罹
(
トヅガ
)
れデ死なれデ見れば、
派立
(
ハダヂ
)
の
目腐
(
めくさ
)
れ
阿母
(
アバ
)
だケヤエに
八十歳
(
ハチヂウ
)
の
身空
(
みそら
)
コイデ
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
「あのお富さんもお気の毒ですよ。早くおよめに来て、早く世の中を済ましてしまったなんて、そう言っていましたよ。あの人も、もう
後家
(
ごけ
)
さんですからねえ——あの女ざかりで。」
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あの百合香なあ、あいつ、三年ほど前に、亭主に先だたれて、
後家
(
ごけ
)
暮しをしとったが、今度、願ってもないええところから、貰い手がついた。再縁にしちゃあ、拝みたいほどの人よ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
はすっぱな下町娘や色気たっぷりの
後家
(
ごけ
)
などが、ゆきずりに投げてゆくこうした
淫
(
みだ
)
らがましい言葉、それにさえ慣れて、はじめのような憤りや自嘲を感じなくなった栄三郎であった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「取扱い所勤務中
遠山藤
(
とおやまふじ
)
と申す
後家
(
ごけ
)
へ通じ合い
候
(
そうろう
)
が事の起り。——何だ下らない」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
写真屋も商売となると技術よりは客扱いが肝腎だから、女の方がかえって
愛嬌
(
あいきょう
)
があって客受けがイイという話、ここの写真屋の
女主人
(
おんなあるじ
)
というは
後家
(
ごけ
)
さんだそうだが相応に儲かるという
咄
(
はなし
)
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
大いに同情してその女に夫ばかりか掠奪物一切を還しやったとあれば、他の捕虜どもは皆去勢されたので「高縄の花屋へ来るも来るも
後家
(
ごけ
)
」、「痛むべし四十余人の後家が出来」とある。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
文吾の家は
後家
(
ごけ
)
と子供とだけだから、村の寄り合ひの正座も奪はれてしまつたのであるが、源右衞門も家柄だけでは正座へなほることが出來ないで、成り上りが幅を利かしてゐる不平を
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
後家
(
ごけ
)
を立て通すが
女性
(
をんな
)
の
義務
(
つとめ
)
だと言はしやる、当分は其気で居たものの、まア、長二や、
勿体
(
もつたい
)
ないが、
父
(
おや
)
を
怨
(
うら
)
んで泣いたものよ——お前は今年
幾歳
(
いくつ
)
だ、三十を一つも出たばかりでないか
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
姉崎の
後家
(
ごけ
)
さんは、誰か、秘密な客を、待ち受けて、いたんじゃあるまいか。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これが別れ別れて両方
後家
(
ごけ
)
になっていたのだナ、しめた、これを買って、深草のを買って、両方合わせれば三十両、と早くも腹の中で
笑
(
えみ
)
を含んで、価を問うと片方の割合には高いことをいって
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その従姉といふ人は
後家
(
ごけ
)
さんで、あの有名なN会堂のすぐ
崖
(
がけ
)
下に住んでゐました。その教会の古くからの信者で、それが縁で構内に宿をもらつて、司教館の家政婦のやうな役目をしてゐたのです。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「これは
後家
(
ごけ
)
家屋というのです。直ぐ越さなければいけません。」
芝、麻布
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
「
坊主
(
ぼうず
)
の二十を
後家
(
ごけ
)
ごろしというが知っちょるか」
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あの
後家
(
ごけ
)
のあなたに、強情に
思
(
おもい
)
を掛けて、とうとう
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
後家
(
ごけ
)
である母はむすこだけをたよりにしていた。
ジェミイの冐険
(新字新仮名)
/
片山広子
(著)
水の
粉
(
こ
)
やあるじかしこき
後家
(
ごけ
)
の君
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
武士
(
ものゝふ
)
のけんくゎに
後家
(
ごけ
)
が
二人
(
ふたり
)
出来
(
でき
)
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
後家
(
ごけ
)
がうつ
艶
(
えん
)
な
砧
(
きぬた
)
に
惚
(
ほ
)
れて過ぐ
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
後家
(
ごけ
)
と、
按摩
(
あんま
)
さんと
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
と
讀了
(
よみをは
)
り藤八サア是でも
汝等
(
うぬら
)
は爭ふかと云れて九郎兵衞は今更面目なさに娘お里を引据此猥婬者めと人前
繕
(
つくら
)
ふ
打擲
(
ちやうちやく
)
に
後家
(
ごけ
)
のお深も猶惣内を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「眼の色變へて乘出すのは穩やかぢや無いぜ、お前に藥草の葉つぱをくれるんだから、いづれ場末の
生藥屋
(
きぐすりや
)
の
後家
(
ごけ
)
か何か」
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“後家”の意味
《名詞》
後家(ごけ)
夫と死別し再婚していない女性。未亡人。
対になっている物で片方がない状態のこと。
(出典:Wiktionary)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
“後家”で始まる語句
後家倒
後家暮
後家婆
後家御
後家相
後家神
後家風
後家尼御前