“開(ひ)” の例文
けれども私は、よしその時、そんなに素晴らしい前途が目の前に開(ひ)らけていても、私はそれからさきにすすむべきではなかったのです。
入院患者 (新字新仮名) / アーサー・コナン・ドイル(著)
押(を)せば開(ひ)らく片折戸(かたをりど)に香月(かうづき)そのと女名(をんなヽ)まへの表札(ひようさつ)かけて折々(をり/\)もるヽ琴(こと)のしのび音(ね)、軒端(のきば)の梅(うめ)に鶯(うぐひす)はづかしき美音(びおん)をば春(はる)の月夜(つきよ)のおぼろげに聞(き)くばかり
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我輩(わがはい)の家で開(ひ)らくとすればもとより営利のためでないから会費二円としてもその二円を尽く料理の方へ向ける事が出来ます。外の諸雑費は我輩から持出して構わん。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
こらせし母(はゝ)も水初穂取(みづはつほと)りに流(なが)し元(もと)へ立(た)ちしお福(ふく)も狼狽敷(あはたゞしく)枕元(まくらもと)にあつまればお千代(ちよ)閉(と)ぢたる目(め)を開(ひ)らき。
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女は破(や)れ窓(まど)の障子を開(ひ)らきて外面(そとも)を見わたせば、向ひの軒(のき)ばに月のぼりて、此処(こゝ)にさし入る影はいと白く、霜や添ひ来(き)し身内もふるへて、寒気は肌(はだ)に針さすやうなるを
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大路(おほぢ)を見渡(みわた)せば罪(つみ)なき子供(こども)の三五人(にん)手(て)を引(ひき)つれて開(ひ)いらいた開(ひ)らいた何(なん)の花(はな)ひらいたと、無心(むしん)の遊(あそ)びも自然(しぜん)と靜(しづ)かにて、廓(くるわ)に通(かよ)ふ車(くるま)の音(おと)のみ何時(いつ)に變(かわ)らず勇(いさ)ましく聞(きこ)えぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一念(いちねん)此處(こヽ)に集(あつ)まりては今更(いまさら)に紛(まぎ)らはすべき手段(しゆだん)もなく、朝(あさ)も晝(ひる)も燭(しよく)をとりても、はては學校(がくかう)へ行(ゆ)きても書(しよ)を開(ひ)らきても、西行(さいぎやう)の歌(うた)と令孃(ひめ)の姿(すがた)と入(い)り亂(み)だれて眼(め)の前(まへ)を離(はな)れぬに
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
燈火(ともしび)の下(もと)に書物(しよもつ)を開(ひ)らき、膝(ひざ)に抱(いだ)きて畫(ゑ)を見(み)せ、これは何時何時(いつ/\)の昔(むか)し何處(どこ)の國(くに)に、甚樣(じんさま)のやうな剛(つよ)き人(ひと)ありて、其時代(そのとき)の帝(みかど)に背(そむ)きし賊(ぞく)を討(う)ち、大功(たいこう)をなして此畫(このゑ)は引上(ひきあげ)の處(ところ)
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
草(くさ)むしりに庭掃除(にはさうぢ)ぐらゐはとて、六十男(をとこ)のする仕事(しごと)ぞかし、勿躰(もつたい)なや古事記(こじき)舊事記(くじき)を朝夕(あさゆふ)に開(ひ)らきて、万葉集(まんえふしふ)に不審紙(ふしんがみ)をしたる手(て)を、泥鉢(どろばち)のあつかひに汚(け)がす事(こと)と人(ひと)は知(し)らねど
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一通は手もとふるへて巻納(まきおさ)めぬ、二通も同じく、三通(さんつう)四通(しつう)五六通(ごろくつう)より少し顔の色かはりて見えしが、八九十通(はちくじつゝう)十二通(じうにつう)、開らきては読み、よみては開(ひ)らく、文字(もんじ)は目に入(い)らぬか、入りても得(え)よまぬか。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)