ぜに)” の例文
新字:
致すはこゝのこと林藏はよいとしことほかずき夫故大方然樣さやうな一けんでも御座りませうが主有者ぬしあるものに手を出すの密夫まをとこなどは致ませんが只々たゞ/\ぜに
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
以てぜになしに旅せしこと伊勢參宮に人違ひの騷動など細やかに話す話すに條理すぢみちあらねども其の樣子其の身振面白く可笑をかしく腹を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
いくらでもねえな、はあ此丈これだけぢやまたほどのこつてもあんめえよ」勘次かんじはいつた。おしな自分じぶんぜに蒲團ふとんしたれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わたくしおもふには、是丈これだけぜにつかふのなら、かたをさへへれば、こゝに二つの模範的もはんてき病院びやうゐん維持ゐぢすること出來できるとおもひます。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なにたのしみに轅棒かぢぼうをにぎつて、なにのぞみに牛馬うしうま眞似まねをする、ぜにもらへたらうれしいか、さけまれたら愉快ゆくわいなか、かんがへればなに悉皆しつかいやで
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
神經しんけいおこつたとき、わざ/\そんな馬鹿ばかところ出掛でかけるからさ。ぜにしてくだらないことはれてつまらないぢやないか。其後そのごもそのうらなひうちくのかい
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
(行燈を見かへる。)いや、四十文のぜにで色々の買物も出來まい。油が盡きたら雪あかりでも事は濟む。兎も角もその錢で米と青菜でも買つて來い。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
ぜにを出してそんな演説をして貰ふてもあかんこつちや。」と、祖母は村の者の愚かなことをぶつ/\云つてゐた。
避病院 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
半日はんにち散策さんさく神祇しんぎあり、釋教しやくけうあり、こひあり、無常むじやうあり、けいあり、ひとあり、したがうてまたじやうあり、ぜにすくなきをいかにせむ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
四番よばんめの大伴おほとも大納言だいなごんは、家來けらいどもをあつめて嚴命げんめいくだし、かならたつくびたまつていといつて、邸内やしきうちにあるきぬ綿わたぜにのありたけをして路用ろようにさせました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
げに汝が汝のおぼゆる時の間に律法おきてぜに職務つとめ習俗ならはしを變へ民を新たにせること幾度いくたびぞや 一四五—一四七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「何んだ、一貫ともまとまらねえのか、六百文や七百文は金とは言はない、それはぜにだよ。馬鹿馬鹿しい」
それでは支那しなから日本につぽん金屬きんぞく傳來でんらいしたことが、なぜわかるかといひますと、それはちょうどそのころ支那しな出來できふるぜにが、いつしょに發見はつけんされるからであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
子守は、押入へぜにを落したのだ、と平氣で言つてゐた。
思ひ出 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)
殘りなくぜにを數へて盜み去れり。
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
ぜにやお辭儀じぎの無いとこや
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
へだて聞えよがしに詢言つぶやきければ半四郎は聞つけて大いに立腹りつぷくの體にてもてなししづかにしろとは不屆千萬某がぜににて某酒を呑にいらざる口を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
天秤商人てんびんあきうどつてるのは大抵たいていくづばかりである。それでも勘次かんじやすいのをよろこんだ。かれわづかぜに幾度いくたび勘定かんぢやうしてわたした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
地方自治ちはうじちぜにわたしたら、れこそ彼等かれらみなぬすんでしまひませう。』と、ブロンヂンのドクトルはわらす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
まうけて他所よそぜにを持つて戻る者は十人に一人もありやせん。大抵はこの貧乏村の錢を持ち出して都會へ捨てに行くんぢやから、村はます/\貧乏になるばかりぢや。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
その古錢こせん小刀こがたなかたちをした刀錢とうせんくはかたちをした布泉ふぜんといふものでありまして、それがしゆうをはごろ出來できぜにであるといふので、年代ねんだいたしかにきめられるのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
金澤かなざはにてぜに百とふは五りんなり、二百が一せん、十せんが二くわんなり。たゞし、一ゑんを二ゑんとははず。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
近所の人に聽いて見ると、與三郎の野郎はぜにもないくせに女あさりがひどいから、この物置を逢引の場所にして居たさうで、小料理屋や、出合茶屋に入る工面もつかなかつたんですね。
(財布よりぜにを出してみせる。)
俳諧師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
汝の獲たる汗くさきぜにを握つて
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
ゑんぜにえず財布さいふるならば彼等かれらなげところいのである。かれたゞ主人しゆじんつてさへすればいとおもつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
其方儀そのはうぎ重四郎を同宿大津屋ゆう方へ入夫致させ候せつ身元みもとをもたゞさず世話致し候段不行屆ふゆきとゞきに付過料くわれうとしてぜに三貫文申付る
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
アンドレイ、エヒミチはぜに勘定かんぢやうして、五百ゑん無言むごんともわたしたのである。ミハイル、アウエリヤヌヰチは眞赤まつかになつて、面目無めんぼくないやうな、おこつたやうなふうで。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
日本につぽんには滿洲まんしゆう北朝鮮きたちようせんよりもすこおくれて金屬きんぞくがはひつてたらしくおもはれますが、それはいまから二千年にせんねんほどまへ支那しな王莽おうもうころ出來でき貨泉かせんといふぜに時々とき/″\るのでわかります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
平次の手から、久し振りのぜにが飛びました。