結構けっこう)” の例文
『いや今日こんにちは、おおきみ今日きょう顔色かおいろ昨日きのうよりもまたずッといいですよ。まず結構けっこうだ。』と、ミハイル、アウエリヤヌイチは挨拶あいさつする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ナニ人間にんげん世界せかいにも近頃ちかごろ電話でんわだの、ラヂオだのという、重宝ちょうほう機械きかい発明はつめいされたとっしゃるか……それはたいへん結構けっこうなことでございます。
此畔ここに石を沢山積んで置けば、その水の氾濫はんらんふせぐ用に供することが出来ます。消極的信仰上偶然の善事とはいいながら誠に結構けっこうな事です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そのなかを、新聞しんぶん一つで、わざわざとおくからきてくださる配達はいたつさんにおどくですので、どうか、十日とおかめぐらいに一かいおくってくだされば結構けっこうです。
母の心 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんな毒瓦斯は、吸着剤きゅうちゃくざい活性炭かっせいたんと中和剤の曹達石灰ソーダーせっかいとを通せばさえぎられるし、ゴムゴム手袋ゴム靴で結構けっこうけられます。
かくて不折君は余に向ひてつまびらかにこの画の結構けっこう布置ふちを説きこれだけの画に統一ありて少しも抜目ぬけめなき処さすがに日本一の腕前なりとて説明詳細なりき。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
なんとすばらしいしろだろう。その規模きぼの大きなこと、ローマの古城こじょうをもしのぐであろうし、その工芸美こうげいび結構けっこうはバビロンの神殿しんでんにもおとりはしない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
パンだけで結構けっこう。マイット婆さんは、パンだけしか食わんようになってから、てんで死にそうもないからね。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
乳母 はれま、結構けっこうなお教訓けうくんぢゃ、すがら此處こゝ居殘ゐのこっても、聽聞ちゃうもんがしたいわいの。てもま、學問がくもんきついものぢゃな! 殿とのさん、貴方こなたさしますことをひいさまにまうしましょ。
御堂おどうの中では何んとなく気もあらたまります。此処ここでお茶をお入れ下すった上のお話じゃ、結構けっこう過ぎますほどですが、あの歌に分れて来たので、何んだかなごりおし心持こころもちもします。」
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
君が歌を作りぶんを作るのは、君自身でもいうとおり、作らねばならない必要があって作るのではなく、いわば一種のもの好き一時の慰みであるのだ。君はもとより君の境遇からそれで結構けっこうである。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「坊っちゃんで結構けっこうでした、非常な安産でしたから御安心下さい」
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
(どうもこんな下駄で。)(いいえもう結構けっこうで。)
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
御閑暇おしずかなようすで、結構けっこうでございます」
顎十郎捕物帳:06 三人目 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「いいえもう、ここで結構けっこうでおます」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「いや、それで結構けっこうだ」
影法師 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
『まあ瀑布たき修行場しゅぎょうば……。どんなに結構けっこうなところでございましょう。わたくしも、何所どこみずのあるところ修行しゅぎょうしたいような気分きぶんになってりました。』
誠に結構けっこうだ、どうかわれわれが死後に回向えこう供養くようのためお経を読んで戴きたい、もう私どもは死んで後の事より外に何も望みがないと大層喜んだです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
もっとも南岳の絵もその全体の布置ふち結構けっこうその他筆つきなどもよく働いて居つてもとより軽蔑すべきものではない。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「まあ、達者たっしゃで、おくにのためにはたらいていてくれれば結構けっこうなことだ、かみさまをおがんで、めでたく凱旋がいせんするのをっていらっしゃい。」と、村人むらびとは、老人ろうじん元気げんきづけたのです。
夜の進軍らっぱ (新字新仮名) / 小川未明(著)
一山の大道場は文殊院もんじゅいんといって、結構けっこう壮麗、七堂の伽藍がらん多宝塔たほうとうの美は翠色にえ、七百の出家たちの上にある碩学せきがく智真ちしん長老といって、私とは兄弟分ともいえる仲でして
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
職工長「魚釣りにねえ。しかし気をつけなよ、ビクトリー・ガールに。十二歳ぐらいのやつでも結構けっこうスピロヘーターやゴノコッケンをふんだんに持っていやがるそうだからね」
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
『ああ貴方あなたもここへれられましたのですか。』とかれしわがれたこえ片眼かためほそくしてうた。『いや結構けっこう散々さんざんひとをこうしてったから、こんどは御自分ごじぶんわれるばんだ、結構々々けっこうけっこう。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
栃のだんごは 結構けっこうだが
鹿踊りのはじまり (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
『モー結構けっこうでございます。』おぼえずそうって御免ごめんこうむってしまいましたが、このことたいへんわたくしこころおちつかせるのに効能ききめがあったようでございました。
東京とうきょうは、ゆきがないというから、結構けっこうなこった。あっちへいたらすぐに便たよりをよこせよ。」
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
たといどれだけお金をいただきどういう結構けっこうな目に遇いましたところが、私が日本国家に必要なりと信ずる大乗教の主義を棄ててあなたの信ずる小乗教に従うことは出来ません。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
向こうへいってくれて結構けっこうであると思った。このすきに、早いところ逃げてしまうのだ。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
表積おもてづみは半分に称しているが、長さ十八けん、幅七間、二十四反帆たんぼ、二十四挺櫓ちょうろ、朱の欄干を立てめぐらし、金ちりばめの金具かなぐ屋形やかた結構けっこうさ、二十五万石の太守のお座船だけあって
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
貴方あなたはそうしんじていなさるから結構けっこうだ。そう信仰しんこうがありさえすれば、たといかべなか塗込ぬりこまれたって、うたうたいながら生活せいかつしてかれます。貴方あなた失礼しつれいながらどこで教育きょういくをおけになったか?
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)