なほ)” の例文
それからわづらひついて、何時いつまでつてもなほらなかつたから、なにもいはないでうちをさがつた。たゞちにわすれるやうに快復くわいふくしたのである。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
此男は何かにつけてカラン/\と玉盤を打つやうな響をさして笑ふのが常で、馬鹿に涙脆くつて腹も立てやすい代りに機嫌もなほりやすい。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
なほつてからも一年位は、重いものを持つたり力仕事したりしてはようないと、お医者さんは言ははつたけれど、だいぜおまへんでせう。」
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
同期の連中が年月と共に次第に昇進した地位について行くのが、彼の最も不平とするところで、今に見い、頭さへなほつたらと口癖になつてゐた。
現代詩 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
傷はなほりきつて居ないが、愚圖々々して居て、小判の瓶を移されては何んにもならぬ、——夜中にそつと忍んで行つて、小判の瓶の隱し場所を今度は間違ひもない見當で掘り始めた
この鳥我戀の病を歌ひなほしき。これある間は、よその鳥はその飛ぶに任せんのみ。その猶太廓より飛び去りしは事實なり。人の傳ふるが信ならば、今は羅馬にさへ居らぬやうなり。
ロミオ 二はれいでもはなしませう。仇敵かたきいへ酒宴しゅえん最中さいちゅう、だましうちわしきずはしたものがあったを、此方こちからもはした。二人ふたりけたきず貴僧こなた藥力やくりきればなほる。
なほす醫師なれば食滯しよくたいと申し其座を立退たちのき候病症見屆の醫師に候はゞ大食滯だいしよくたい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
腸の一部が睾丸かうぐわんに下りて居る事で、何うかしてこの大睾丸おほきんたまなほしてる方法は無いかと、長野まで態々わざ/\出懸けて、いろ/\医者にも掛けて見たけれど、まだ其頃は医術も開けて居らぬ時代の事とて
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
大丈夫ですよ、お母さん、××博士が、きつとなほすと云ひました。
独断一束 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
いいわよ トマトが生へたら地球のお医者ゐしやさんになほしてもらふから
御夢想ごむさうくすりぢやに……なん病疾やまひすみやかになほるで、ひないな……ちやうど、來合きあはせたは、あなたさまみちびきぢや……あだにはおもはれますな。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「——こりや、どうしても転地して徹底的になほさにや、他の者に伝染するからの」
現代詩 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
今では御徒おかち町の吉田一學樣のところに居るが、奧方は毎日見舞ひ、弟の勇三郎も時々見舞つて居るが、いゝ鹽梅に持ち直して、二三日でけろりとなほり、今では元の身體になつたといふことですよ
なに すぐなほるよ 火星くわせい医学ゐがく進歩しんぽしてゐるよ
むなしもどるが如き事ある可し因て到底たうていなほらずとも藥の功驗きゝめで二月三月起らずにゐれば其後に假令たとへはつする事ありともはやそれまでには夫婦ふうふの中に人情にんじやうと云がおこり來れば癲癇てんかんありとて離縁りえんには成る氣遣きづかひも有まいからと云れて見れば其やうな物とも思ひ上治うはなほして致してやらねば其親子が折角せつかく得たる出世しゆつせの道のさまたげ爲やう思はるれば先の家へは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
となりかた身代みがはりにつてくだすつたやうなものだから、此方こちらなほつたら、おはかたづねて、わたしまゐる、おまへ一所いつしよ日參につさんしようね。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「昨夜、御主人が惡かつたさうだが、今日はなほつたので?」
駄目だめだい 病気がなほらなければかへれないや
まうづるひとがあつて神佛しんぶつからさづかつたものとおもへば、きつ病氣びやうきなほりませう。わたし幸福かうふくなんです。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)