居所ゐどころ)” の例文
僕は去年××へ來てから、郷里くに居所ゐどころを知らせて置かなかつたんです。まさか今頃おやぢが死なうとは思ひませんでしたからねえ。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
さて我山中に入り場所ばしよよきを見立みたて、木のえだ藤蔓ふぢつるを以てかり小屋こやを作りこれを居所ゐどころとなし、おの/\犬をひき四方にわかれて熊をうかゞふ。
むし居所ゐどころくわつともたがの、かんがえてれば、お前様めえさまは、たゞ言托ことづけたのまれたばかりのことよ。なにつてかゝるにはあたらなんだか。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おゝ、御坊ごばう、をしへてくだされ、この肉體にくたいのあたりに、わし醜穢けがらはしい宿やどってゐるぞ? さ、をしへてくだされ、そのにく居所ゐどころ切裂霧さいてくれう。
それから奥、東照宮とうせうぐう境内けいだいの方へ向いた部屋々々へや/″\家内かないのものの居所ゐどころで、食事の時などに集まる広間には、鏡中看花館きやうちゆうかんくわくわんと云ふ匾額へんがくかつてゐる。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
もんれいとほあけぱなしだからたゝ世話せわいらず、二人ふたりはずん/\とうちはひつてたが草木くさき縱横じゆうわうしげつてるのでラクダルの居所ゐどころ一寸ちよつとれなかつた。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
彼女かのぢよは、片山かたやま同志どうしのKうちせて、かれ居所ゐどころさがしてゐたが、そのかれが、I刑務所けいむしよ未決監みけつかんにゐるとわかつたのは、行方不明ゆくへふめいになつてから、半年はんとしもののちだつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
もしそれが非常ひじよう地震ぢしんだと判斷はんだんされたならば、自分じぶん居所ゐどころ如何いかんによつて處置方法しよちほう/\かはられなければなるまい。それについては、以下いか各項かくこうおい細説さいせつするつもりである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
和尚はそのお礼として、来世で自分に特別上等の居所ゐどころを取持つてくれる程の信用はないにしても、今少し叮嚀な挨拶があつても善かりさうなものだ。と、伝兵衛は少し言葉にかどを立てた。
ゆゑ時計とけいときしるには短針たんしんところて、ぎに長針ちやうしん居所ゐどころるべし。たとへば短針たんしんところ、九と十とのあひだにして長針ちやうしんところ、二ところなれば九ぎ十分時ぶんじなりとふことなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
あらまし尋ねたれども何分父の居所ゐどころ相知あひしれ申さず何時迄いつまであだに月日を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その時分は、まだ居所ゐどころもきまらず、それつきりになつてたんだ
光は影を (新字新仮名) / 岸田国士(著)
僕は去年××へ来てから、郷里くに居所ゐどころを知らせて置かなかつたんです。まさか今頃おやぢが死なうとは思ひませんでしたからねえ。
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
手をくださずして熊をとるの上じゆつ也。是は熊の居所ゐどころによる也。これらは樵夫せうふをりによりてはする事也。
くちなは料理れうり鹽梅あんばいひそかにたるひとかたりけるは、(おう)が常住じやうぢう居所ゐどころなる、屋根やねなきしとねなきがう屋敷田畝やしきたんぼ眞中まんなかに、あかゞねにてたるかなへ(にるゐす)をゑ、河水かはみづるゝこと八分目はちぶんめ
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きゝ夫は又何故に惡漢わるものと知りながら教へてはやらざりしぞ聞が如きにてはまこといたはしき事なりと云に八五郎いな道中の雲介くもすけ駕籠舁かごかきなどと申ものは今日は此所ここに居ると思へばあすは大坂へ參り又は東海道へかせぎ歩行あるき少しも居所ゐどころの極らぬ奴輩やつばらゆゑもし奴等きやつらが仕事の邪魔じやま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)