“藤蔓”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ふじづる82.5%
ふぢづる7.0%
ふじつる3.5%
ふぢかつら3.5%
ふぢつる1.8%
ふじかずら1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夜はけた。彼女は椎のこずえの上に、むらがった笹葉ささばの上に、そうして、しずかな暗闇に垂れ下った藤蔓ふじづる隙々すきずきに、亡き卑狗ひこ大兄おおえの姿を見た。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
つら/\此住居すまゐを見るに、いしずえもすえず掘立ほりたてたるはしらぬきをば藤蔓ふぢづるにてくゝりつけ、すげをあみかけてかべとし小きまどあり、戸口は大木のかはの一まいなるをひらめてよこ木をわたし
下りられねえってうかして下りられるだろう、待ちねえあの杉だか松だかかしわだかの根方に成って居るとこ藤蔓ふじつるつたや何か縄の様になってあるから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
藤蔓ふぢかつら笠にまとひ、樷竹しげるたけ身をかくし、石高くしてみちせまく、一歩も平坦たひらのみちをふまず。
さて我山中に入り場所ばしよよきを見立みたて、木のえだ藤蔓ふぢつるを以てかり小屋こやを作りこれを居所ゐどころとなし、おの/\犬をひき四方にわかれて熊をうかゞふ。
しかし、長羅の頭首こうべは重く黙って横に振られた。彼の眼の向けられた彼方では、松明の一塊が火串ほぐし藤蔓ふじかずらを焼き切って、赤々と草の上へ崩れ落ちた。一疋の鹿は飛び上った。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)