圍爐裏ゐろり)” の例文
新字:囲炉裏
見ると驚いた、母とお兼とばかりだらうと想つてゐたのに、お米と千代とが來て居て、千代は圍爐裏ゐろり近く寄つた母の肩を揉んで居る。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
ぬすんだつちわけぢやねえが、ふたとつてところなんだよ」さういつてばあさん風呂敷ふろしき四隅よすみつかんで圍爐裏ゐろりそばつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
行先ゆくさきあんじられて、われにもあらずしよんぼりと、たゝずんではひりもやらぬ、なまめかしい最明寺殿さいみやうじどのを、つてせうれて、舁据かきすゑるやうに圍爐裏ゐろりまへ
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
收めたれば酒肴しゆかう見立掛り膳部申付役となる火のさかんなる圍爐裏ゐろりに足踏伸し鉛筆のしりにて寶丹ほうたんと烟草の吹壳ふきがら
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
圍爐裏ゐろりつてあるところて、本堂ほんだうよこけて、そのはづれにある六でふ座敷ざしき障子しやうじえんからけて、なか案内あんないされたとき宗助そうすけはじめて一人ひとりとほくに心持こゝろもちがした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
翌日の晝には、私は、起きて、着物を着て、ショールにくるまつて、子供部屋の圍爐裏ゐろりの傍に坐つてゐた。私は自分のからだが弱り、打ちのめされたやうになつてゐるのを感じた。
あいちやんがこのことひとはなさうとめるうちに、料理人クツク圍爐裏ゐろりから肉汁スープなべはづして、手當てあた次第しだいなにはじめました、公爵夫人こうしやくふじんとゞほどでしたから無論むろんぼツちやんにもあたりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
日が暮れるまで大きい圍爐裏ゐろりの隅にうづくまつて、浮かぬ顏をして火箸許りいぢつてゐたので、父は夕飯が濟んでから、黒い羊羹を二本買つて來て呉れて、お前は一番ちいさいのだからと言つて慰めて呉れた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
尋ねんが爲に所々方々と駈廻かけめぐりしが不案内といひことに夜中の事故道に踏迷ひ難儀なんぎ致す者なり何とも申兼たる事ながら湯にても水にても一わんいたゞき度と言ば主の老女は打合點うちうなづき夫は何とも御氣の毒千萬なり先此所へ上りて緩々ゆる/\と休み給へとて圍爐裏ゐろりに掛たる古藥鑵より湯茶を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
村落むらのどのうちからか今日けふ念佛衆ねんぶつしうへというてそなへられた二升樽しようだる圍爐裏ゐろりそばきつけて、しりすゝけた土瓶どびんへごぼ/\といで自在鍵じざいかぎけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うこそ」とつて、叮嚀ていねい會釋ゑしやくしたなり、さきつて宗助そうすけみちびいた。二人ふたり庫裡くり下駄げたいで、障子しやうじあけうち這入はいつた。其所そこにはおほきな圍爐裏ゐろりつてあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
忘れたり澤を傳ひ峯に上る隨分さかしき峠なれど馬にまかせてけはしき事を知らず東もち屋村といふは峠の上にして人家四五軒あり名物の餡餅あんもちありこゝにて馬を圍爐裏ゐろりの火にかゞみし手足を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
... そりやたまちやんは可愛かあいらしくつて大人おとなしいわ』となかつぶやきながらなみだいけ物憂ものうげにおよまはりました、『それから、たまちやんは圍爐裏ゐろりそばにさも心地好こゝちよささうに、咽喉のどをゴロ/\はせながらすわつて、 ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
圍爐裏ゐろりのそばで
小さな鶯 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
流浪るらう致しをり不便ふびんに存候故途中とちうよりつれかへり私し明家あきやへ住居させ候に追々狂氣きやうきをさま正氣しやうきに立歸り以前の如く渡世とせい致し居候内享保きやうほ元申年十一月廿八日かと覺え候が其日は大雪おほゆきにて人通りもまれなるにお三には酒に圍爐裏ゐろりまろおち相果あひはて申候と聞て次右衞門三五郎は役柄やくがらなれば早くも心付其死骸しがい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
與吉よきち紙包かみづゝみの小豆飯あづきめしつくしてしばらくにはさわぎをたがれううち㷀然ぽつさりとして卯平うへい見出みいだして圍爐裏ゐろりちかせまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
御寒おさむ御座ございませう」とつて、圍爐裏ゐろりなかふかけてあつたすみはひしたからした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)